平成20年3月19日
ハンセン病問題研究会
代表世話人 村岡 潔 様
平素より、大阪市の公衆衛生行政に何かとご理解、ご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
さて遅くなりましたが、過日いただいたご意見について回答させていただきます。
平成13年5月の熊本地方裁判所判決を受けて、翌年8月に設置された「大阪府ハンセン病実態調査報告書作成委員会」における審議の中で、ハンセン病患者
ではないかと疑わしいものがいるとの市民からの投書に基づき本市が大阪府に調査を依頼している文書や、大阪府から本市あてにハンセン病患者の現住所を照会
している文書などの存在があきらかになりましたが、このことは、本市も地域からのハンセン病患者発見の一端を担っていたことを示しております。
このような事実を真摯に受け止め、当時の市長が平成15年9月「外島保養院記念碑」を参拝し、国の強制隔離政策の一端を担ってきたことを謝罪するととも
に、真相究明の調査を行う委員会を設置し、ハンセン病患者・回復者等の名誉回復と正しい知識の普及・啓発に努めていくことと、今なお入所を余儀なくされて
いる在園者の方々が社会復帰していただける環境作りを行うと表明しました。
この市長表明を受けて、外部委員や庁内の課長級職員などで構成する「大阪市ハンセン病問題対策委員会」を設置し、様々な観点からご意見をいただきながら、本市出身の療養所入所者への聞き取り調査では、自宅を消毒したのは大阪市であったという証言もありました。
これらのことは、国、地方自治体、住民が一体となって、ハンセン病患者を見つけ出し強制的に療養所に入所させて、自分たちの町からハンセン病患者を一掃
しようという目的で、全国的に展開された「無らい県運動」に大阪市も関わっていたということを示しており、それらを通じて、ハンセン病患者、回復者やその
家族の方々の人権を侵害するとともに、市民にハンセン病に対する誤った認識を植えつけ、地域に偏見・差別を根付かせてきました。
本市では、この反省のうえに立って、市民にハンセン病問題を正しく理解してもらい、ハンセン病患者、回復者やその家族の方々の名誉を回復し、それらの方
々が安心して暮らしていけるように、啓発冊子や講演会の開催などにより、ハンセン病に対する偏見・差別の解消に取り組んでおりますので、よろしくお願いい
たします。
大阪市保健所感染症対策担当
(担当:寺井)
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